遺言書があっても「遺産分割協議書」を優先できる?全員合意のルールと注意点を解説

「亡くなった父の遺言書が見つかったけれど、家族の現在の状況に合っていない…」「相続人みんなが納得する別の分け方に変更したいけれど、遺言書の内容は絶対なの?」
相続が発生した際、このように悩まれる方は少なくありません。
結論からお伝えすると、一定の条件を満たせば、遺言書があっても相続人全員で作成した「遺産分割協議書」の内容を優先させることができます。
今回は、遺言書と遺産分割協議書の優先関係をはじめ、遺言と異なる分け方を実現するための条件や注意点について分かりやすく解説します。
1. 原則は「遺言書が優先」だが、変更は可能
日本の法律(民法)では、亡くなった方(被相続人)の最終的な意思を尊重するため、原則として「法定相続」よりも「遺言書」が優先されます。
しかし、遺言書に書かれた受遺者や相続人の権利は、本人の自由意思によって放棄したり変更したりすることも認められています。
そのため、関係者全員が納得して合意するのであれば、遺言書と異なる内容で遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を作成して遺産を分けることが可能です。
2. 遺産分割協議書を優先させるための「3つの必須条件」
遺言書の内容と異なる遺産分割協議を有効にするためには、以下の条件をすべて満たす必要があります。
① 相続人・受遺者の「全員」が合意していること
最も重要な条件は、戸籍上の相続人全員、および遺言によって財産を受け取る人(受遺者)全員の同意です。例えば、家族以外の第三者に財産を譲る内容(遺贈)が含まれている場合は、その第三者も協議に参加して同意する必要があります。
※1人でも反対する人がいる場合や、多数決で押し切ろうとすることはできません。1人でも反対すれば遺言書の内容が優先されます。
② 遺言執行者の同意を得ること(指定されている場合)
遺言書の中で「遺言執行者(遺言の内容を実現する人)」が指定されている場合、相続人だけで勝手に財産を処分することはできません。ただし、実務上は遺言執行者の同意を得て手続きを進めることで、遺言と異なる遺産分割協議も有効に成立すると扱われます。
③ 遺言書で「遺産分割の禁止」がされていないこと
被相続人が遺言によって「死亡後○年間は遺産分割をしてはならない」といった分割禁止の指定(最長5年)をしていないことが前提となります。
3. 遺言と異なる遺産分割協議を行う際の注意点
遺言書と異なる内容で合意する際には、後々のトラブルを防ぐために以下のポイントに注意が必要です。
- 名義変更手続き(不動産・預貯金)への影響:銀行や法務局で手続きをする際、遺言書と異なる分割を行う理由や全員の同意があることを証明するため、印鑑証明書付きの「遺産分割協議書」の提出が厳格に求められます。
- 税務上のリスクや配慮:分割のやり直しや財産の移動方法によっては、意図せず贈与税や譲渡所得税などの税金負担が生じるケースがあります。あらかじめ専門家に確認しながら協議を進めるのが安全です。
4. まとめ
遺言書が存在していても、相続人や受遺者など関係者全員の合意があれば、遺産分割協議書の内容を優先して柔軟に遺産を分けることができます。
ただし、「全員の同意を得るのが難しい」「遺言執行者がいて進め方が分からない」「税金面が心配」といった場合は、自己判断で進めずに慎重に対応することが大切です。
遺言書がある場合の遺産分割や、協議書の作成手続きについてお困りのことがございましたら、当事務所までお気軽にご相談ください。
なお、相続税の申告など税務に関する手続きや税法上の取り扱いについての詳細な説明が必要な場合は、当事務所の提携税理士をご紹介し、当事務所と税理士が連携してサポートいたします。相続手続きを円滑に進められるよう、状況に応じて各分野の専門家と連携して対応いたしますので、どうぞ安心してご相談ください。
About
この記事について
- 公開日
- 2026.08.24
- 内容確認日
- 2026.08.24
- 監修
- 荒関誠人(行政書士・中小企業診断士)
Related Service


.png&w=3840&q=75)
.png&w=3840&q=75)