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補助金03

小規模事業者持続化補助金【第20回】―最大250万円を引き出す特例活用と、11月5日開始に向けた逆算スケジュール

小規模事業者持続化補助金【第20回】―最大250万円を引き出す特例活用と、11月5日開始に向けた逆算スケジュール

「販路開拓に投資したいが、手元資金を大きく減らしたくない」——小規模事業者の経営において、この悩みは常につきまといます。

その解決策として最も利用しやすいのが、小規模事業者持続化補助金です。2026年5月27日に第20回(一般型・通常枠)の公募要領が公開され、申請受付は2026年11月5日(木)から12月15日(火)17時までと発表されました。

ただし、この補助金には「締切の11日前に、もう一つの締切がある」という構造的な落とし穴があります。今回は、第20回の制度スペックを整理したうえで、補助上限を50万円から最大250万円まで引き上げる2つの特例と、逆算で組むべき準備スケジュールについて解説します。

1. 第20回公募の全体像

まず、制度の基本スペックを一覧で押さえます。

項目

内容

補助対象事業

自ら策定した経営計画に基づく、販路開拓および業務効率化・生産性向上の取り組み

補助上限額

50万円(特例活用で最大250万円)

補助率

2/3(赤字事業者が賃金引上げ特例に取り組む場合は3/4)

申請受付開始

2026年11月5日(木)

事業支援計画書(様式4)発行受付締切

2026年12月4日(金)

申請受付締切

2026年12月15日(火)17:00

採択発表

2027年3月頃(予定)

事業実施期限

2028年3月31日

申請方法

電子申請システムのみ(gBizIDプライムのアカウントが必要)

申請窓口

商工会地区・商工会議所地区でそれぞれ異なる

補助率2/3、上限50万円という数字だけを見ると小ぶりに映ります。しかし本補助金の価値は、「使途の自由度」と「取り組みやすさ」にあります。大型の設備投資に限定されず、チラシ・ホームページ・展示会出展・新商品開発といった、日常の販路開拓に直結する経費が幅広く対象になるためです。

2. 補助上限を250万円まで引き上げる2つの特例

第20回では、基本の50万円に対して、要件を満たすことで上乗せが認められます。

① インボイス特例(+50万円)

2021年9月30日から2023年9月30日の属する課税期間で一度でも免税事業者であった事業者、または2023年10月1日以降に創業した事業者のうち、適格請求書発行事業者(インボイス発行事業者)の登録を受けた事業者が対象です。該当すれば、補助上限額が一律50万円上乗せされます。

免税事業者からインボイス登録に踏み切った事業者にとっては、実質的に「登録したこと」自体が上乗せにつながる設計です。

② 賃金引上げ特例(+150万円)

補助事業の終了時点において、事業場内最低賃金が申請時より+50円以上であることが要件です。これを満たすと、補助上限額が150万円上乗せされます。さらに、赤字事業者がこの特例に取り組む場合は、補助率が2/3から3/4へ引き上げられます。

両方を活用した場合と、見落とせないリスク

インボイス特例と賃金引上げ特例は併用が可能です。両方を満たすと上乗せ額は合計200万円となり、補助上限額は最大250万円に達します。

  • 最大の注意点: 特例の要件を1つでも満たさなかった場合、上乗せ部分だけが減額されるのではなく、補助金全体が交付対象外となります。
  • 実務上のポイント: 賃金引上げ特例は「事業終了時点」の実績で判定されます。安易に上限額を狙って特例を付けると、補助金がゼロになるリスクを負うことになります。賃上げの余力を慎重に見極めたうえで選択してください。

3. 対象となる事業者と対象経費

小規模事業者の定義

「小規模事業者」に該当するかは、業種と常時使用する従業員数によって判定されます。

業種

常時使用する従業員数

商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)

5人以下

サービス業のうち宿泊業・娯楽業

20人以下

製造業その他

20人以下

なお「常時使用する従業員」には、会社役員や個人事業主本人、一定の要件を満たすパートタイム労働者は含まれません。判定に迷う場合は、申請前に窓口へ確認することをおすすめします。

補助対象経費の区分

補助対象となる経費は、次の区分に整理されています。

  1. 機械装置等費
  2. 広報費
  3. ウェブサイト関連費
  4. 展示会等出展費(オンラインによる展示会・商談会等を含む)
  5. 旅費
  6. 新商品開発費
  7. 借料
  8. 委託・外注費

注意が必要なのは、ウェブサイト関連費に上限がある点です。補助金交付申請額の1/4(最大50万円)が、この経費区分で申請できる上限とされています。「補助金でホームページを全面リニューアルする」という発想では計画が成り立たないため、ウェブ以外の販路開拓施策と組み合わせて構成する必要があります。

4. 申請前に押さえるべき3つの実務ポイント

① 本当の締切は「12月4日」

見落とされがちですが、申請には商工会・商工会議所が発行する「事業支援計画書(様式4)」が必須です。この発行受付締切は12月4日(金)であり、申請締切の11日前に設定されています。

しかも、様式4は依頼したその場で発行されるものではありません。経営計画書の内容を窓口の経営指導員と擦り合わせたうえで発行されるため、実質的には11月中旬までに計画書の初稿を完成させておく必要があります。締切間際は窓口が混み合うことを踏まえると、準備開始は10月中が現実的なラインです。

② gBizIDプライムの取得は「今すぐ」

第20回は電子申請システムのみの受付で、gBizIDプライムのアカウントが必要です。gBizIDプライムは印鑑証明書等を添えた審査を伴うため、取得までに一定の日数を要します。まだお持ちでない事業者は、公募開始を待たずに今すぐ手続きに入ってください。

③ 「販路開拓」との因果関係を言葉にする

本補助金の審査では、金額の大きさや設備の新しさではなく、「その取り組みがなぜ販路開拓につながるのか」の説明力が問われます。自社の強み、狙う顧客層、その顧客に届く手段、という因果の鎖が経営計画書の中で一本につながっているか。ここが採択・不採択を分ける最大のポイントです。

5. あわせて確認したい他の類型

一般型・通常枠のほかにも、2026年度は複数の類型が動いています。自社の状況によっては、そちらの方が適している場合があります。

類型

補助上限額

主な対象

一般型・通常枠

50万円(特例活用で最大250万円)

販路開拓に取り組む小規模事業者全般

創業型

200万円(インボイス特例で最大250万円)

創業から一定期間内で、特定創業支援等事業の支援を受けた事業者

共同・協業型

2,000万〜3,000万円

5者以上の小規模事業者と地域振興等機関が連携する取り組み

各類型の要件および公募スケジュールは類型ごとに異なりますので、申請にあたっては最新の公募情報をご確認ください。

6. まとめ

第20回の小規模事業者持続化補助金について、押さえるべき要点は次の3つです。

  1. スケジュールは「12月4日」から逆算する: 申請締切の12月15日ではなく、様式4の発行受付締切が実質的なデッドラインです。準備開始は10月中が現実的なラインとなります。
  2. 特例は「取れるから取る」ではなく「守れるから取る」: 要件を1つでも満たさなければ補助金全体が交付対象外になります。とりわけ賃金引上げ特例は事業終了時点の実績判定です。
  3. 審査で問われるのは金額ではなく因果関係: 強み・顧客・手段が一本につながった経営計画書が採択を引き寄せます。

小規模事業者持続化補助金は、要件がシンプルである一方、経営計画書の書き方ひとつで結果が大きく変わる制度です。「自社は対象になるのか」「どの経費を組み合わせるのが最適か」「特例を使うべきか」といった判断でお迷いの際は、当事務所までお気軽にご相談ください。制度の適合性の確認から経営計画書の策定支援まで、一貫してサポートいたします。

About

この記事について

公開日
2026.09.06
内容確認日
2026.09.05
監修
荒関誠人(行政書士・中小企業診断士)

参考文献・出典

  • 中小企業庁「小規模事業者持続化補助金<一般型・通常枠>(第20回)」公募要領の公開について/商工会議所地区・商工会地区 各事務局サイト/ミラサポplus/J-Net21

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